遺産分割（遺産分割協議）には弁護士が必要？依頼するメリットとは。

遺産分割協議は、自身にどこまでの権利があるのかわかりにくいことがあるうえ、相続人同士の感情のもつれあいでまとまらないことも少なくありません。
しかし、弁護士に依頼すると、弁護士費用もかかるし、どのようなメリットがあるかもわからない。そう思う方もいることでしょう。
そこで、今回は、遺産相続全般において、弁護士はどのような業務を取り扱うのか、遺産分割を弁護士に依頼することにはどのようなメリットがあるのかなどについて解説していきます。

１　遺産相続で弁護士が関わる業務はどのようなものがあるのか

遺産分割の話に入る前に、遺産相続全般について弁護士がどのように関わるかについて解説します。
遺産相続全般において弁護士が関わる業務には、以下のものがあります。

１－１　遺産分割（協議及び調停、審判）

代表的なものとして遺産分割が挙げられます。
遺産分割は、法定相続分をベースにして、相続人全員の協議、協議がまとまらない場合は調停や審判で、誰がどの遺産をどれだけ相続するか決めるものです。
先にも記載しましたが、遺産分割においては、相続人同士の間に感情のもつれがある場合や、また、どのように遺産を分けるかでもめる場合も少なくありません。
弁護士が、依頼を受けて、相続人の代理人として遺産分割に対応する場合、法的な観点から分割のあり方等について主張したり、資料を用意することによって、協議・調停での話し合いや、審判での主張立証を適切に行うことができ、問題を解決することが可能となります。

１－２　遺留分減殺請求

遺留分というのは、相続人のうち遺留分権利者が最低限保障される相続分のことです。
遺留分は、①相続人が直系尊属の場合は3分の1、②①以外の場合は2分の1となっています。各遺留分権利者は、これらの遺留分に法定相続分をかけた分を最低限保障されます。
遺言の内容などが遺留分を害している場合に、遺留分権利者が行使することができるのが遺留分減殺請求権です。
遺言で「財産の一切を○○に相続させる」などと書かれている場合、遺留分権利者の権利が害されていることが多く、このような場合に遺留分減殺請求権が行使されます。
遺留分減殺請求権を行使するにあたっては、遺産を管理している人に、被相続人の財産の開示を求めたり、不動産の査定などをする必要があります。
しかし、遺産を管理しているのは多くの場合被相続人や相続人の親族であり、そのため、感情のもつれなどから、遺留分権利者が財産開示などを直接求めても応じてもらえないことが多々あります。
そこで、弁護士が依頼を受けて交渉を行ったり、調停を申し立て、遺留分権利者の権利を守る役割を果たすこととなります。

１－３　相続放棄

相続放棄は、相続の権利を放棄し、相続開始時に遡って相続人ではなかったことにする手続で、家庭裁判所に申述をして行うものです。
被相続人が多額の借金を背負っていた場合や、被相続人が所有していた価値のない不動産の固定資産税を相続人が負担したくない場合などに行われます。
手続自体はそれほど難しくありません。
しかし、相続放棄は、原則として相続開始を知ったときから3か月以内に行う必要があり、相続放棄をする人から被相続人までがつながる全戸籍を裁判所に提出しなければありません。
また、相続放棄をする必要があるかどうか、財産調査を行うことが必要なケースもあります。
そこで、これらの手続をスムーズに行うため、弁護士に相続放棄が依頼されるケースもあります。

２　遺産分割を弁護士に相談・依頼した場合のメリット

先にも述べたとおり、遺産相続の中では、遺産分割を弁護士が担当することがおおいです。
そこで、以下では、遺産分割を弁護士に相談・依頼した場合のメリットについて解説します。

２－１　適切なアドバイスを受けられる

遺産分割は、相続人の範囲や相続分など、専門知識がないとわからない問題が多い分野です。
そのため、法的な知識が乏しい方がひとりで対応しようとすると、自分が法律上取得可能な分について正しく理解できないために不利益を被る場合もあります。
弁護士に相談すれば、正しい知識を元に適切なアドバイスを受けることができ、依頼すれば不利益を被るのを免れることができます。

２－２　他の相続人に会わなくてよい

先にも述べたように、相続人同士は、それまでの親族関係や相続自体の争いのため、険悪な関係になっていることが多く、遺産分割の協議のために顔を合わせるだけでも大きなストレスとなります。
弁護士に遺産分割を依頼すれば、相続人同士の連絡や協議の窓口を弁護士に担当してもらうことができ、他の相続人に会わなくて済みます。
大きなストレスから解放されることも弁護士に依頼する大きなメリットです。

２－３　不動産など分割が難しい財産の分割方が解決できる

遺産の中には不動産などそれ自体を分割することが難しい財産も含まれていることがあります。
確かに不動産自体を分割することは可能ですが、評価額が均一になるように分割することは難しいことです。
そのため、不動産が遺産に含まれている場合の遺産分割は難航することが少なくありません。
弁護士に依頼すれば、不動産の評価額や他の遺産にどのようなものがあるかを踏まえて、スムーズにできる遺産分割方法を提案してもらうことができます。
この点も大きなメリットといえます。

３　まとめ

遺産相続、中でも遺産分割の場面において、弁護士が果たす役割は大きく、弁護士に依頼するメリットが高いことをお分かりいただけたと思います。
確かに、弁護士に依頼すると相応の弁護士費用がかかってしまいますが、遺産分割を含め遺産相続問題全般について対応することが可能です。弁護士費用の問題で依頼をお悩みの方も是非一度、お気軽にご相談ください。お待ちしております。
当事務所の弁護士費用は、以下のURLよりご確認いただけます。当事務所へのご依頼をご検討の方はご確認ください。

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この記事を書いた人　弁護士 植木竜太

埼玉弁護士会（登録番号：48476）
相続・遺産分割・遺留分、離婚・不貞、交通事故、法律顧問などの経験が豊富で、個人・法人問わず幅広い分野の法律相談を積極的に行っている弁護士。